更新履歴、雑記、お知らせ、メールフォームお返事等を集約。雑記は折り返し以降シリーズ全般のネタバレ満載となっております。ご注意ください。
月は移り、夏は進んで深まって。我が身ひとつはもとの身のまま。
EVO-R第8話は初見以来ずっとそんな感じです。
何を書こうか、何を言おうか、そして何をどうしようか。そればかりが頭を巡って立ち尽くし、気付けば日蝕の日
も近付きつつあります。そうして思いましたが、これら全てが明確な形を取ることはないでしょう。この回が感じ
させたものは、言葉で表せるようなものは殆んどなくて、むしろ表しようのないものばかりだったと思います。そ
れを無理やり言葉にしようとしても、結局は一部だけを拾い出した断片が飛び交うばかりで終わってしまうのだ
ろうと。
そう思いましたので、この回はもう断片の集まりをもって感想としようと思います。
今回はその中でも、見ながら思った細々したことを。そしてまた別の記事で、全体から思う形を取らない事柄
の話をしようと思います。
「時計を疑う」「重なる音楽」そして今回の断片と、最後にまたもうひとつ。こんなに変則な書き方をするのは
初めてです。ある意味では、この迷走感がこの回への印象を一番表しているかもしれません。
ということで、見ながら思った細々したことを。この回は本当に短く感じ、初見直後は冗談でも何でもなく時計
を疑いました。慌てて真の所要時間を確認した程です。その結果、実際の所要時間の4分の1ほどにしか感じ
ていなかったことが明確になったという……それほどひたすら全身が引き込まれていたんだろうなあと。
しかしそんなあっという間の中でも思うことはいくらも有りまして、その点を今回つらつらと。通常、感想として
書いているものとほぼ同じですが、今回切る所は切って別記事に回します。
- 冒頭、一切の前置き無しで本筋が始まったことで、この回がやっぱりEVO-Rの折り返し、要の回なんだろうということが意識されて、ここで既に見入る体勢が整う。いつもの前回のあらすじは結構ミもフタもなく面白くて良いんですが、今回のような時にはこういうワンクッションはなくて良いですね。これがなかった事で、緩急が付いているなあと思ったのが最初の点。
- この時背景になっている3人1組の女人像を見て思ったのが「…モイラ?」だったんですよね。えーと、ギリシア神話の言う、人間の運命の糸を紡ぎ・分配し・断つ、3人1組の運命の女神。北欧神話やローマ神話にも、個々の名は違えども相当する女神が在り。3人1組の女人像を見るとこの運命の女神たちが思い浮かぶんですが、この時もそれが出て。背景にこういう運命の女神を思い起こさせるものを置いたのは、これはこの回の中で運命を左右することが起こるんだ、という暗示なのかもなあと、考えすぎなことをぼんやり思いながら眺めていたんですが。
- 危険だろうとなんだろうと商品の買い付けに出る、お前たちにも護衛として付いてきてもらう…と言うラドックに食い下がるアベルと、食い下がりかけるポコタ。それを制するリナ。この時の「わかりました」というリナの声が素晴らしい。威圧感はないけど澄んでてきっぱりしてて。何度でも聞きたいくらい。
- この声に限らず、林原さんの今回のリナの演技はいずれも半端なかった……!
- ラドックの真意を図るリナ達の会話。原作だとゼロスが居るけどここに居なくて、逆に居なかったゼルとポコタがここに。メンバーが違う分、会話が変化するわけですが、そのアレンジのバランスが良くて、長く、くどくなりすぎずに纏まっていて良かったなあと感じたものでした。
- そしてアメリアの台詞は流石に変わったかと。元々の「わたし、遺品をあさる」は結構強烈な台詞すぎて、アニメには似合わないよなあと思ってたんで。初読の日、結構驚いたもんなあこれ(笑)そしてこちらのアメリアとリナの関係から言っても、「お祓いしてもらわなきゃいけませんし」の方が自然で合う気がしますね。しかしアメリア、巫女さんなんだから自分でもお祓いできるだろうというのは多分見てた人の共通見解だと思う(笑)
- ついでに乗ったゼルの「墓の上に重い岩を乗せ、高価なお札を貼って厳重に封印だ」っていうのに、お札使うのかスレ世界の魔道?てか高価なほど効果も高いの?と首を傾げる(笑)
それどこのGSの設定。 - ここでリナがわなわなと反論したので終わったが、ポコタは何と答える気だったんだろう。ところで「あたしの仇を討とうって気にはならないの!?」「あんまり……」なゼルの台詞にも薄く笑う。あんまりか、ちょっとはあるんだなと(笑)けど実際は多分やるだろうなと。この岩、根っこの部分単純で熱いので。
- 出立の日、ラドック用の高級馬車に護衛ということでひとり乗りこむリナ。ポコタのぶーぶーに「文句があるならラドックに言ってよね」と返してますが、これラドックの要望?道中色々差し向かいで言いたいことがあるのかねえと。真実は暗殺者っていう立場で標的とどんな会話をする気だったんだろう……
- 「愚痴には付き合わずこっちの荷馬車でのんびり行きましょ」「ん」とガウリイの肩当てにぺったりくっつくアメリアを見て、ほんとEVO-Rはガウリイアメリア仲良し路線なんだなあ(笑)とてもなごむ。
- そこへ出てきて、僕も一緒に行くと乗り込むアベル。この親子押し問答の部分を必要な部分だけに絞り込んだのも、この回を短く感じさせた一因だろうと思う。基本的に、本筋とは回り道な日常部分・細部のおまけ、そういうものが大好きなんですが、要の回ではそういうものはすっぱり切ってしまってテンポを重視して欲しいと思うので、今回のテンポの良さは本当に良かった。
- アベルの乗り込むのを見て、「こっちはお気楽」とふっふふーんなポコタ。ちっちゃい手は組んで、耳手の方は頭の後ろで組む感じ。このポーズと動き細かいなあGJと思ったら、巻きつく悪魔の尻尾…もといリナのムチ?このムチ?どっから出して来たんだろうかと思ったが、リナはマントとショルダー・ガードの中に色々入れてるらしいんで、そっから出てきたんだと思うことで。ところでショルダー・ガードやブレスト・プレートの収納スペースが前から気になってるんで、どこかに収納の図解はないものだろうか(笑)
- ここでようやくタイトルコール。前置きとしては長かったですけど、本筋に入る前に必要な前置きはもう本当に全部タイトルコール前に圧縮して来たんだなあ。
- ラドックの馬車の手綱を取るのはオゼル……って、うわー、ここまでラルタークポジションを肩代わりしてきたかオゼル。オゼルの登場とランザード邸勤務は本当に上手い。そして確かにこの時ラドックの馬車の手綱を取るのはオゼルの担当だよなあと。馬車走らせるために護衛として雇ってる人間の手を二人分塞ぐのも無駄ですもんね。しかしレゾさんは本当にどこまで想定したメイドさんを作ったんだ……
- しかし荷馬車の手綱をガウリイが取ってるのは結構予想外。こういう小技の役回りってゼルだと思ってた。ところでこれで4人全員が馬の手綱を取ったなあとかぼんやりと考えたりも。NEXTでリナ(乗ってただけ)とアメリア(走らせてた)、ゼルも某特典映像で謎の乗馬(あれは未だに何でか分からん(笑))ガウリイは馬扱えるのかなーと思ってたんですが、やっぱ扱えましたかよっしゃ(笑)
- てかこの時のガウリイの鼻歌ってアレか、ドナ○ナっ!?待て、ちょっと待て!これ歌詞知ってて歌ってるとしたら、物凄いブラックジョークとラドックへの嫌味かましてないかガウリイ……!?この状況に合わせてド○ドナ歌えるのか……!?何だかこれ、シリーズかってないほど黒いガウリイじゃないかもしかして?(汗)認識した瞬間、かなりびっくりした……なんでまたいきなりさらりとこういうブラック面が……さ、流石ネット界でやぶれまんじゅうとかごま塩とかおにぎりとか言われる男……(違)
- にしてもこの歌の歌詞、原曲歌詞だと「儚い命」とかそういう文句が入ってるんですよねえ。ある意味この回の挿入歌には相応しかったのかもかしらと今になってしんみり。
- それにしてものんびり寝そべるアメリアの平和な表情がとても良かった。
- 「お前以外の誰かと旅を共にすることも、久しくなかったことだ」「いつも父さんは一人で出かけて、一人で帰ってきたからね」と言葉は少ないながら腹の探り合いのような会話をする親子……このラドックの「久しくなかったことだ」がポイントなんですよね、「以前はあった」ということで。そこで何があり、どうなったかというのがこの先の回想な訳で。
- 夕暮れ時、なにもない開けた道端で馬車を止めるオゼル。馬たちも休ませませんと、という言葉があるけれども、多分ここで止めるようラドック=ズーマが指示してたんだろうなあと。
- 傍らの大きな木のある丘の上から見下ろす親子。ここから見る地面、道の分かれ方、流れ方が気合入って描かれてますね。単純な一本道じゃなくていくつも分かれて少なくとも3方に伸びている。商業都市のヴェゼンディの側っていうことで、街道だの道だのはいくつも繋がっているはずなので、単純に一本道じゃなくてこうしていくつも伸びる道が描かれてるのは非常に好印象。行き詰まりの道も見られるのが何だか意味深ですけれど……
- それを見下ろし「手広く商売をしていれば、それが原因で怨まれることもある」「母さんが死んだのも、それが原因なの?」と会話を重ねていく親子。ここで語られることは事前に色々目に入って大筋は知っていました。盗賊に妻を殺されたこと、そのとき見ているだけで何も出来なかったこと。けれど、こんな風に白骨化する過程を、手の届かないぎりぎりの距離で見つめ続けるしかなかったというのは想像の外。正直、前の記事で書いた『祈りと、怒りと』に感覚が分散されていなければかなりきつい光景でした。大事な人が死んでいくのを見つめるしかなったっていうのはルークとも通じるけど、ラドックの場合はルークと違って、動くことも、復讐する力もこの時なかったという状況で、凄惨さと無念さは一層強まっています。ルークは怒りから復讐へ進むことができても、この時のラドックは怒りに留まることしかできなくて、それが怒りを募らせていった。ルークが爆発ならば、ラドックは凝結?いや、表現が見つからない。誰かと比べること、それ自体がおかしいんですが、見ているこちらはこれまでに見たものと重ね、その中でもやり場のない怒りと感情を抱くしかできなかったラドックとその妻を見てぞっとしました。いや、ぞっとするよりも麻痺していた。
- このことに思うところは様々にあれども、それは別の記事で。
- 「この私に他にどうすることができる」はあらゆる意味でラドックの本音だと思う。その時は本当に何もできなかったし、今もこういう生き方しかできない。「どうすることができる=できない」という、色々なものを諦めてしまった言葉。その時に生まれた怒りと闇が繋がり、集まって今に至る。どうすることができるとも思っていないけれど、現実として今この人間がここに在る。それを表しているような気がする。けど、アベルにとってはそれが納得できるわけがないし、誰にだってそんなことは納得できない。そして、ラドック自身でも。
- 木の陰から親子の会話を聞いていたリナとポコタ。ラドックの前に出て「仇討ちってのが良いことじゃないのは分かるけど、それじゃやりきれないことが多すぎるからな」というポコタに「でも、そんなことしたって誰も救われる訳じゃない…多分」と引き継ぐリナ。この「やりきれない」「救われない…多分」は、本当にこの回そのものを表す言葉なんだろう、と。
- 目の前で大切な人が死んでいくのを見せつけられる、というのは、リナも経験しているんですよね。NEXTのあの時に。それこそ、一人一人、どうすることもできずに。この時のリナは、最後の最後にあの決断を下した訳なんですが、それをして今ここにこうして居られることは奇跡でしかないことは、本人が一番分かっていると思う。そんな奇跡を得られた自分が、得られなかったラドックに向かい合うのは、どういう気持ちなんだろう。
- そして語られる「その盗賊たちはサイラーグでの戦いに巻き込まれて死んでしまった」という言葉に目を剥く……リナ=インバースを殺す為に暗殺者になった、って、そんな理由だったのか!?てっきりリナが潰した盗賊団が妻を殺した盗賊団とイコールなのかと思ったのに、そんな遠回りなことが原因で?多分このサイラーグの戦いって、無印のコピーレゾ戦のことだと思うけど、それだとむしろ破壊の元であるレゾ(コピー)の方に矛先が向くんじゃあ……?と思ったけれど、そのレゾ(コピー)をリナが倒してしまってるので、その分の怒りもリナに向いたってことでしょうか。うーん、それだとリナ一人にそれが集約しているのもおかしい気が。あそこにいたのはリナ一人じゃないし、手配書だってリナとガウリイのセットで回ってたし……ついでに、約3年前(推定)のことを知ってから暗殺者の道を選んで名が知れ渡るのはいくらなんでも早いんじゃあ……?そして後で明らかになる壷とレゾとのあれこれも、流石にレゾとコピーレゾが別の人物だということまでは当事者しか知らないと思うのに、そこにいるのがレゾ=サイラーグ破壊者だと見なすと思うのに、何故そんなことをする気になれたんだ……?ひょっとして、あの破壊は「原因不明」じゃなくて「リナ=インバースのせい」ということになってる?考え出すとキリがない。
- ただ、この「リナを殺すために~」はおそらくアニメで加わった要素だと思うんですが、多少無理があってもこれを加えたのは正しかったと思う。原作と違って、合体したセイグラムの分の復讐の念がないこと、言いたかないけどあまりプロ意識を感じなかったREVOズーマではプロとしての誇り、という面での説得力が持てないことから考えると、「リナを殺す為に」という明確な殺意を最初から持っていなければこうして本筋に食い込んできては違和感が付きまとったと思う。大した関係もないのに、どうしてそんなに執拗に狙ってくる必要があった?となってしまう気がして。「リナを殺す為に」なら、他にどんな理由も要らないので。
- ラドックの背中に声をかけるにかけられないリナ。その手にぶら下げられたポコタ→リナの順に、異変を察知。ポコタの方が先というのはちょっと意外かも。もしかしたら戦闘の気配に慣れてきた?
- そして荷馬車に残る3人は肉眼で異変を確認。レッサー・デーモンの大群接近という、決戦の幕開けへ。
- しかしこのレッサー・デーモン、何だかこれまでとデザイン違いすぎません?もっと茶色っぽかった気がするんですが……や、レッサー・デーモンって変化の度合いによって一匹ずつデザイン違うんじゃないかとは思うけれども、それでもこれレッサー・デーモンっていう明言がなければ多分分からなかった気がする(苦笑)
- Aパートのアイキャッチはいつもの全員集合じゃなくて、ロケットに入っていたラドックと妻の細密画を描く時、モデルとして並んでいた時の二人でしょうね……まだ10代じゃないかという若さの二人の姿がどうしようもなく切なくて、やりきれない。
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