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何から書けば良いのか、何を言えば良いのか分からない。8話を見て以来、頭の中にはとりとめのない断片
ばかりが飛び交っていて、未だ明確な形を取らない。そんな感じがしています。
ですが、その中でひとつだけ、見た瞬間に形を取ったものがあります。なので、まずはそのことを書いてみま
しょう。
正確には「見た瞬間」ではなく「見聞きした瞬間」のことを。ある音楽の話です。
ばかりが飛び交っていて、未だ明確な形を取らない。そんな感じがしています。
ですが、その中でひとつだけ、見た瞬間に形を取ったものがあります。なので、まずはそのことを書いてみま
しょう。
正確には「見た瞬間」ではなく「見聞きした瞬間」のことを。ある音楽の話です。
今回、EVO-R 8話の前半では、ある音楽が使用されました。
それは『祈りと、怒りと』
これはTRY23話の冒頭、黄金竜たちとアルメイスを弔い、フィリアが祈りとともに誓い、そこへ現れた最長老
と決別するシーンに使用された音楽です。TRY終盤の専用曲のひとつであり、弔いから決別までの情景と切な
く流れる旋律とが相まって、記憶と深く結びついている音楽のひとつでもあります。
そして、5月にこれが収録されているサウンドトラックを入手した時、私が真っ先に聞いた音楽でもありました。
ただしそれは勘違いによって。
この時私が聞きたかったのは、正確には同じCDに収録の『哀しい過去を越えて』でした。4話の時この音楽
の使用に倒れたものの正確な曲名が分からなかったので、それを確かめたくて聞いたんです。そして4話で
『哀しい過去を越えて』の旋律を耳にした時、私が曲名として思い浮かべたのは、実は『祈りと、怒りと』でした。
なので真っ先にこれを再生したんですが、聞こえてきたのは、それまで『哀しい過去を越えて』だと思っていた
旋律。つまり、この2曲の名を完全に逆転して覚え込んでいたんです。
それに驚き、何でそうなってたんだろうと思いつつ『祈りと、怒りと』を聞き終えたとき、理由を思い出しました。
初めてこの曲名を知ったとき、腑に落ちなかったんです。正確には『怒り』の部分が。
『祈り』の部分はすっと分かる。弔い、そしてフィリアの誓い、それを一言で表すのは確かにこれ。けど『怒り』
はどうだろうか、と。あの場面では確かに茫とした憤りが根底にあったけれども、中心にいるフィリアからは特に
強いそれを感じなかったので、『怒り』で表すのは何か違う気がするなあと。むしろ、『祈り』と同時に『怒り』だと
するならば、26話でヴァルガーヴが「何に祈る。神か、魔か」と問いかけるシーンに使用された音楽のほうが、
決戦中だということもありこの曲名に近いような気がして、そして『哀しい過去を越えて』の名はこの時のフィリア
に当て嵌められないことも無いような気がするなあ、と思ったんです。その印象が強くて、この2曲の名を逆転
してしまっていたのでした。
そして5月、PCでこのCDを聞いたところ、画面に表示された表記は『Prayer and Wrath』。辞書を引いたら
『Wrath』は「激怒、憤怒、復讐、懲罰」……ますます首を捻りました。こんなに激しい表現はどうにも違う気がす
るなあ、と。むしろあの時の情景だと、この部分の旋律は「決別」とか「面を上げて」とか、そういう意味の言葉の
ほうが私にはしっくり来るんだけどなあと、そう思って。けど『怒り』でもおかしくはない訳だし、『祈りと、怒りと』と
いう韻を踏んだ曲名はとても好きだしうーん、と、ずっと腑に落ちないままだったんです。
そんな感じのまま迎えた8話。ラドックが過去の悲劇を語るのにこの音楽が重なったとき目を見開きました。
目の前で死に逝く妻の姿とTRYの弔い、共通する死者への『祈り』。そして『怒り』。この音楽の後半表現される
茫洋として燻ぶる感情が、やり場の無い憤りを抱え込みここまで来てしまったラドック=ズーマの姿に重なって
見えて。
そして思いました。ああ、確かにこれは『祈りと、怒りと』だ、と。
最初に知ったときからずっと腑に落ちなかった曲名、それがこの場面と重なった時、初めてすっと飲み込め
た気がしました。そして『Wrath』の表現にも頷いた、この場面に来るべきは確かにこの言葉だと。TRYの直後
からずっと首を捻り続けた曲名、それがこの場面を見聞きした瞬間、頷けるものになりました。
REVOとEVO-Rを見ていて、こんなことを思えたのは初めてでした。これまで前3作の音楽が使用される
たび、どうにもその音楽が背負っていた出来事が重なって、それに納得がいかなくて、使用するならば過去の
出来事に敬意を払った納得の行く使用を――と願わずにはいられなかったのですが、それが今回は叶えられ
た気がしました。この音楽が聞こえることでTRYの情景が呼び起こされ、相乗効果が起きた。そして、この曲名
はこの時のためにあったんじゃないかとすら思った。そう思えたことにとても驚いて、そして嬉しかったんです。
もしかしたらこの音楽も、これまでのように旋律だけで選ばれたのかもしれません。それは分かりませんが、
それでも私はこれがこのシーンに使用されたことが嬉しかったんです。前3作の印象深いシーンと重なり、相
乗効果をもたらし、そして曲名への印象さえ塗り替えた。前3作の音楽を使用するなら、それだけの価値のある
使用を、そして叶うものならば再びその場面と結びつくような使用を、という贅沢な願いがここでは叶ったような
気がしました。
前3作、更には原作がある。それは、ここに来るまでに様々な道のりを辿ってきたということです。それらの出
来事を踏まえて、今の出来事を重ねて欲しい。これまでの記憶と現在の姿が上手く重なれば、そうでないときと
は比べ物にならないほど響き合い、強烈な印象を残す。そう思うんです。そして、願わくばこれまでの出来事を
基礎にして、より発展した姿を見せて欲しい。そう思って止まないのです。
『進化』の名を冠するEVOLUTION-Rにはそれができる。そう思えたのがこの『祈りと、怒りと』であり、その
場面を生み出した8話でした。
それは『祈りと、怒りと』
これはTRY23話の冒頭、黄金竜たちとアルメイスを弔い、フィリアが祈りとともに誓い、そこへ現れた最長老
と決別するシーンに使用された音楽です。TRY終盤の専用曲のひとつであり、弔いから決別までの情景と切な
く流れる旋律とが相まって、記憶と深く結びついている音楽のひとつでもあります。
そして、5月にこれが収録されているサウンドトラックを入手した時、私が真っ先に聞いた音楽でもありました。
ただしそれは勘違いによって。
この時私が聞きたかったのは、正確には同じCDに収録の『哀しい過去を越えて』でした。4話の時この音楽
の使用に倒れたものの正確な曲名が分からなかったので、それを確かめたくて聞いたんです。そして4話で
『哀しい過去を越えて』の旋律を耳にした時、私が曲名として思い浮かべたのは、実は『祈りと、怒りと』でした。
なので真っ先にこれを再生したんですが、聞こえてきたのは、それまで『哀しい過去を越えて』だと思っていた
旋律。つまり、この2曲の名を完全に逆転して覚え込んでいたんです。
それに驚き、何でそうなってたんだろうと思いつつ『祈りと、怒りと』を聞き終えたとき、理由を思い出しました。
初めてこの曲名を知ったとき、腑に落ちなかったんです。正確には『怒り』の部分が。
『祈り』の部分はすっと分かる。弔い、そしてフィリアの誓い、それを一言で表すのは確かにこれ。けど『怒り』
はどうだろうか、と。あの場面では確かに茫とした憤りが根底にあったけれども、中心にいるフィリアからは特に
強いそれを感じなかったので、『怒り』で表すのは何か違う気がするなあと。むしろ、『祈り』と同時に『怒り』だと
するならば、26話でヴァルガーヴが「何に祈る。神か、魔か」と問いかけるシーンに使用された音楽のほうが、
決戦中だということもありこの曲名に近いような気がして、そして『哀しい過去を越えて』の名はこの時のフィリア
に当て嵌められないことも無いような気がするなあ、と思ったんです。その印象が強くて、この2曲の名を逆転
してしまっていたのでした。
そして5月、PCでこのCDを聞いたところ、画面に表示された表記は『Prayer and Wrath』。辞書を引いたら
『Wrath』は「激怒、憤怒、復讐、懲罰」……ますます首を捻りました。こんなに激しい表現はどうにも違う気がす
るなあ、と。むしろあの時の情景だと、この部分の旋律は「決別」とか「面を上げて」とか、そういう意味の言葉の
ほうが私にはしっくり来るんだけどなあと、そう思って。けど『怒り』でもおかしくはない訳だし、『祈りと、怒りと』と
いう韻を踏んだ曲名はとても好きだしうーん、と、ずっと腑に落ちないままだったんです。
そんな感じのまま迎えた8話。ラドックが過去の悲劇を語るのにこの音楽が重なったとき目を見開きました。
目の前で死に逝く妻の姿とTRYの弔い、共通する死者への『祈り』。そして『怒り』。この音楽の後半表現される
茫洋として燻ぶる感情が、やり場の無い憤りを抱え込みここまで来てしまったラドック=ズーマの姿に重なって
見えて。
そして思いました。ああ、確かにこれは『祈りと、怒りと』だ、と。
最初に知ったときからずっと腑に落ちなかった曲名、それがこの場面と重なった時、初めてすっと飲み込め
た気がしました。そして『Wrath』の表現にも頷いた、この場面に来るべきは確かにこの言葉だと。TRYの直後
からずっと首を捻り続けた曲名、それがこの場面を見聞きした瞬間、頷けるものになりました。
REVOとEVO-Rを見ていて、こんなことを思えたのは初めてでした。これまで前3作の音楽が使用される
たび、どうにもその音楽が背負っていた出来事が重なって、それに納得がいかなくて、使用するならば過去の
出来事に敬意を払った納得の行く使用を――と願わずにはいられなかったのですが、それが今回は叶えられ
た気がしました。この音楽が聞こえることでTRYの情景が呼び起こされ、相乗効果が起きた。そして、この曲名
はこの時のためにあったんじゃないかとすら思った。そう思えたことにとても驚いて、そして嬉しかったんです。
もしかしたらこの音楽も、これまでのように旋律だけで選ばれたのかもしれません。それは分かりませんが、
それでも私はこれがこのシーンに使用されたことが嬉しかったんです。前3作の印象深いシーンと重なり、相
乗効果をもたらし、そして曲名への印象さえ塗り替えた。前3作の音楽を使用するなら、それだけの価値のある
使用を、そして叶うものならば再びその場面と結びつくような使用を、という贅沢な願いがここでは叶ったような
気がしました。
前3作、更には原作がある。それは、ここに来るまでに様々な道のりを辿ってきたということです。それらの出
来事を踏まえて、今の出来事を重ねて欲しい。これまでの記憶と現在の姿が上手く重なれば、そうでないときと
は比べ物にならないほど響き合い、強烈な印象を残す。そう思うんです。そして、願わくばこれまでの出来事を
基礎にして、より発展した姿を見せて欲しい。そう思って止まないのです。
『進化』の名を冠するEVOLUTION-Rにはそれができる。そう思えたのがこの『祈りと、怒りと』であり、その
場面を生み出した8話でした。
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